モノづくりの窓口 みんなの特許 第72回「AIの発達と知的財産権」

chukei0807
平成29年8月7日付 中部経済新聞 第7面掲載記事(寄稿 開発NEXTプロジェクトリーダー富澤正)より

AIが作った「記事」が話題に

AI(人工知能)はデータを処理することはできても、創造的にモノを生み出すことは苦手だと考えられていました。
その中、2016年11月1日、データセクション株式会社が提供したAI技術を応用して執筆された記事が公開され、話題になりました。

中部経済新聞特設サイト – この記事、AI記者が書きました。

「記事」とは文章ですので、人が創作したものであれば「著作物」です。

AIが生み出したものの著作権はどうなるか

著作権法上の権利の対象物である「著作物」とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」をいう、と著作権法に定められています。

AIに関していろいろと検討する点がありますが、まずは、「AIが自律的にした創作」が「思想又は感情を創作的に表現したもの」であるか、は問題となります。

  • 疑似的にヒトの思想や感情を表現している
  • 単なる計算結果であって思想や感情の表現ではない

どちらでしょうか?この点、未だ明確な答えは(少なくとも日本では)でていません。

AIが手伝った発明はどうなるか

特許の世界には「共同発明」という考え方があります。共同発明は、2人以上の人が実質的な協力によって完成させた発明を指し、共同発明について特許を受ける権利は各発明者(協力者)の共有となります。
ここで実質的な協力とは、着想の提供や着想の具体化といったことが協力の類型として挙げられています。

着想の提供とは、それまでにない新しいアイデアを生み出すことです。具体化を別の誰かがしたとしても、そのアイデアの提供者は特許法上の発明者となり得ます。
では、この着想の提供をAIがした場合はどうでしょう?AIは、感情や過去の経験に基づかず、機械的に(客観的に)物事を判断することができますので、人間が想像もしないような突飛な組み合わせを考え出す可能性を秘めています。
新しいものを生み出すということは人間にしか想定されていませんでしたが、これからAIが進化していく過程で、知的財産権の分野でもパラダイムシフトが起こるかもしれません。

AIの開発