未活用特許

企業では研究開発が日夜行われています。その中で特許になりそうな基礎技術や応用技術については特許が取得されます。
しかし、国内特許約160万件のうち約半数の約75万件は、未活用特許であるといわれており、その多くを大企業が保有しているようです。

技術的価値が低く使えないから特許が活用されないのではと考えるかもしれませんが、それは多くの場合では誤りです。
例えば大企業が特許を活用しない理由には、自社の規模にあった大きさの市場が見込めないこともあります。一方で、中小企業にとっては、大企業が小さいと判断した市場であっても、十分に魅力のある可能性があるのです。今回は、大企業の未活用の特許を借りて新商品を作るとうアプローチで、開放特許を考えてみます。

中小企業にとってのメリット

中小企業が開放特許を活用するメリットには、

  • 開発にかかる時間や資金を抑えることができる
  • 大企業との共同開発の機会を得て、付加価値を高められる

などが挙げられます。

特許の開放に力を入れている企業に富士通株式会社(以下、富士通)があります。富士通では、自治体や金融機関などと連携して自社の開放特許の活用を推進しています。
事例として、同社の赤外線画像を使って患者の離床・起床状態を検出する「患者見守り技術」という特許技術を、株式会社アルコ・イーエックス(以下、アルコ・イーエックス)が利用して新商品を開発しています。アルコ・イーエックスは、従来のシステム開発の受託事業頼りの状態を脱するために新商品を作ろうと考えていた時に、富士通の特許技術に出会ったそうです。開放特許技術「患者見守り技術」を1つのパーツとし、これに自社のノウハウを生かした技術をさらに加えることで、新製品の開発を達成しました。

開放特許を利用して新製品・新産業の創出を推進する動きは、自治体や金融機関も含め、活発になっています。開放特許の技術を1つのパーツとして自社新商品を作るという流れも、今後さらに進んでくることでしょう。
開放特許にどのようなものがあるのか知りたい方は、特許庁(INPIT)が運営する無料の「開放特許情報データベース」で検索することができます。

本を借りる

富澤 正

弁理士。当サイト『開発NEXT』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)