開発NEXT プロジェクトリーダーの弁理士 富澤正が執筆した「理系のための特許法入門」(中央経済社, 2014)から、法律初学者向けの「法律の読み方」をお届けします。

理系と法律

開発部門から知的財産の管理部門に異動することになった— 転職先の候補に知的財産を扱うものがある— もともと理系の知識を武器に活躍されていた方が知的財産を扱うこととなるケースは少なくありません。
しかしながら、知的財産を扱う場合の基礎知識は特許法などの「知的財産権法」。理系の方はそれまであまり勉強したことのない分野である法律に戸惑ってしまうかもしれません。

知的財産権法は、法学部の学生では一般的に3年次以降に履修する応用科目です。法学部の学生でも応用科目として学ぶものを、理系の方が法律の基礎知識もないまま知的財産権法の勉強を始めたら、手を焼くのも当然です。

法律の考え方

法律の基礎的知識がないまま知的財産権法を勉強することは、物理の基礎知識がない状態で、機械工学、電子工学、化学等の理系科目を勉強するのと同じです。分かるわけがありません。法学の基礎である「法律の考え方」を学ぶことが知的財産権法を理解するためには必要なのです。
この「法律の考え方」を学ぶためには、法学部新入生のように憲法、民法等の基礎科目から勉強しなければならないのでしょうか…

いいえ、そんなことはありません。法律を理解するだけなら、「法律の考え方」を身に付ければ十分です。

例えば、機械工学を勉強するためには、物理の基礎を学び、次に力学を学びと順序立てて理解していくことが必要になります。理系の知識は、ピラミッド層のように下層から順序立てて学んでいくことで一段ずつ上層を理解していけるような体系になっている気がします。
一方、法律は、ベースとなる「法律の考え方」さえ知っていれば、それぞれの法律を理解することは可能なのです。法律の考え方を熟知している弁護士さんは、得意とする分野でない法律であってもすぐに理解して話してくれます。これは、根底となる「法律の考え方」をマスターしているからではないかと思います。

法律は数学

本連載では、これまで話した「法律の考え方」を伝えていきます。
私の説明する「法律の考え方」は、「理系のための」と銘打つだけに、数学の考え方に似ています。
法律とは、国民のルールであり、誰でも理解でき、公平に適用されるよう、一般化されています。即ち、法律は、一般化した数式により様々な問題を解決する数学の感覚に近いのです。数学が論理的であるように、法律も論理的です。法律は、数学と同じような考え方に沿って理解できるのです。

(富澤著書 – Amazon.co.jp)

富澤 正

弁理士。当サイト『開発NEXT』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)