最近では Amazon で買い物をしたことがない、というかたの方が少ないのかもしれません。
Amazon.co.jp では、商品を買い物カゴに追加して→買い物カゴを確認して→配送先を入力して→決済方法を入力して→確定!という面倒な作業をすっ飛ばして注文できる「1-Click 注文」というボタンが実装されています。

この 1-Click 注文ボタンですが、これまで特許によってその技術が守られていました。

USPTO – 5,960,411 (米国)

ユーザーにとって便利なだけでなく、買い物カゴに入れるだけいれて購入されないというケースも減らせるため、販売者側にとっても大きなメリットのある技術のようです。

この特許が、存続期間満了をもって消滅したそうです。(See: DIGIDAY)
ということは、今後は Amazon にお伺いをたてなくても他の事業者は同じような注文ボタンを実装できることとなります。
特許制度とは、インセンティブとして発明をした者に一定期間の独占を認める一方で、その後は広く技術を使わせることで技術の発展を目指すという制度なので、この流れは自然なものです。今後はいろいろな EC サイトに 1-Click ボタンが登場することでしょう。

ただし、いくつかの注意点があります。
まず、例えば Amazon が前出の技術の改良発明について別に特許を取得していた場合、その改良部分については依然特許が存在する可能性があります。1-Click ボタンならもう誰でも実装していいというわけではなく、今回特許が切れた範囲であって、他の存続している特許に抵触しない範囲でなら、自由に使えるという点には配慮が必要です。
また、この米国の前出の特許(US 5,960,411)の特許出願(08/928,951)に基づいて日本でも特許が2件取得されています(特許第4959817号, 特許第4937434号)。こちらは平成30年9月まで存続する見込みなので、日本での実装が可能になるのはもう少し先なようです。

後藤 英斗

弁理士。
サポーターとして記事のネタ探しなどを担当。普段はプログラマーっぽい仕事をしている。IPA ネットワークスペシャリスト、セキュリティスペシャリスト。
最近のメイン言語は Python, C# と日本語。趣味でも機械学習のプログラムでいろいろと遊んでいる。