新しい形の地域ブランド

以前にも知的財産権を活用した地方創生について書きましたが、私は地方創生には知的財産権をブランド力として活用することを重要と考えています。
ブランドということであれば、第一には商標です。特に地域の取り組みとして活用されるのは、特許よりも商標であることが多いです。商標を一つの旗印として、地域での活動を広げている自治体や団体を多く見かけます。

地域ブランド活性の起爆剤として、地域団体商標制度が日本に導入されて約10年が経ちました。
地域団体商標制度とは、本来は商標としての登録が認められない「地域名」と「商品・サービス名」のみからなる商標について、一定の条件の下で登録を認める制度です。この10年で例えば中部地方では「蒲郡みかん」「常滑焼」「飛騨牛」「下呂温泉」「伊勢茶」等、数多くの地域団体商標が登録されています。

平成26年からは、商工会議所等も地域団体商標を登録することができるようになり、さらに多くの新しい地域ブランドが生まれてきています。最近の登録例では一宮商工会議所の「一宮モーニング」という言葉が登録されました。
今後も、町おこしの武器として、例えばB級グルメなどの分野でも地域団体商標の登録が増えてくると予想されます。

地域ブランドを守る

商標登録をするメリットは、その商標を独占できることにあります。商標を地域団体商標として登録すれば、その商標を用いる地域ブランドの価値を維持することができることができるのです。

消費者はブランドを見て商品を選択しますが、購入した商品が期待外れだった場合には買った店舗だけでなく、地域ブランド全体に対して悪いイメージを持つことも往々にしてあるでしょう。そのようなことを防ぐため、登録した地域団体商標の商標権に基づいて、地域の団体(商標権者)に所属さなければその商標(ブランド)を使えないようにできます。団体として、粗悪品を作る事業者を排除すれば、地域ブランドを毀損されることも防げます。

地域団体商標ができて約10年。今後は、地域創生や事業者の拡大など、さらに制度の利活用が拡がっていけばと思います。

富澤 正

弁理士。当サイト『開発NEXT』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)